大桑村役場から国道19号線を北上し、隣の上松町に入る手前、
国道から木曽川のほとりへ一段下った所に、いくつかの池が並んでいます。
ここが、漁業組合ではない一民間事業者としては、全国の養殖業でも先駆けとなる田澤養鱒場です。
こちらで、珍しいますのうの花漬を手掛ける三代目の田澤昌樹さんにお話を伺いました。
田澤養鱒場の主力商品は、ますのうの花漬と甘露煮。ニジマスの甘露煮は長野県内で多く見られますが、
一方のうの花漬は初耳・・・田澤さんへますのうの花漬誕生のきっかけを、
加工場と棟続きの事務所でお聞きしました。
「母によると、地元郷土料理に酢で締めた魚とうの花を和えて食べる食べ方があった。
それをヒントにニジマスで作り、法事の際に皆さんへ振る舞ったところ評判が良かったので、
商品化してみようと思った」のだそう。試行錯誤を続けた結果、
脂が乗った親ますの切り身を酢と塩で締め、木曽福島の豆腐屋さんから仕入れるおからに
鶏卵を加えたものと馴染ませ、着色料や保存料を一切使わない商品が完成しました。
さらに続ける田澤さん、「魚離れの現代だが、淡水魚を使った新しい商品を
皆さんへ提供したいという思いがあって、常に新商品を考えています。だから、食べ物に対して敏感に、
食べる時に興味を持っています。どこから新商品のヒントになるか分からないですから」と。
事務所でますのうの花漬を試食した後、ニジマスを育てる外の養魚池へ。全部で8つある池の水は、
ここから200mほど離れた沢から引いており、創業以来同じ水源を使い続けているとのこと。
周囲の環境に恵まれ、水質は変化ないものの、水温が若干上がっているそうです。
田澤養鱒場では、ニジマス以外に信州サーモンも手掛けています。
ニジマスは池ごとにサイズをそろえ、育てられています。時々トンビやサギに狙われるようですが、
これまで大きな被害を受けたことはありません。
むしろ酸欠や病気、水の濁りによるマスの体調変化が問題で、
この変化の原因に気付くことが遅れると、池のマスが全滅しかねません。
ますの体調は、餌の食べ方や泳ぎ方で分かるそうですが、
毎日見て回ることで小さな変化も見逃さないのですね。
最後に田澤さんより。「是非ますのうの花漬を食べて欲しいです。魚を育てることから
販売まで全て自分でやっているから、出所が確かなことに自信を持っています。
物産展などでも、お客様に自分で魚を育てていることを伝えると、安心してもらえます。
今はそういうものが求められているのだと思います」。
ますのうの花漬商品化に至るお話を聞きながら、うの花漬を頂きました。田澤さん曰く、「味は富山のます寿司に近いかも」と。確かに近いですがこちらは肉厚で、食べ始めると止められない美味しさ!日本酒とも合うこと間違いなし!! そして何より、食の安心安全を求める社会ニーズを直視し、商品に自信を持っている生産者の手で作られている〜これが一番大切と感じました。 (小穴久仁・倉田和己)
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住所 | 大桑村須原78 |
TEL/FAX | TEL:0264-55-3058 FAX:0264-55-3057 |
定休日 | 年中無休 年末年始休業あり、臨時休業あり |
tazawa.ysj@ok.kiso.ne.jp |
2010年4月14日現在の情報になります。
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