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野菜作りを通じて、農業と地産地消に触れる。市民向け農業講座「あぐりカレッジ農業講座」体験レポート。その2
2013.06.26 更新

野菜づくり講座、第2回目

講座の会場となる愛知県立半田農業高校の付属農場・南峡農場。
水田と緑豊かなのどかな風景が広がります。

前回から約1ヶ月後の5月18日、
「あぐりカレッジ農業講座」園芸体験コースの第2回目を受講してきました。
引き続き、体験レポートをお届けします。
会場は前回と同じ、愛知県立半田農業高校の付属農場・南峡農場です。
今回は19名の受講生が参加しました。

講師は半田農業高校教諭の榎戸喜成さん。マクワウリの整枝について説明中。

マクワウリの栽培を学ぶ

授業のテーマは第1回目に続き、「果菜類の管理法」。
前回、実習で畑にマクワウリ、ピーマン、ナスの苗を植えたのですが、
今回は主にマクワウリのその後の栽培方法について講義が行われました。
マクワウリはウリ科キュウリ属の野菜で、古くから日本で栽培されています。
ツル性の植物で黄色いメロンのような実がなり、ほんのり甘い味がするそうです。
苗を植えてから実がなるまでについて、榎戸先生から詳しく説明がありました。
まず「摘心」が最初の大事な作業とのこと。
摘心?野菜作りの経験のない私にとって、初めて聞く言葉です。
摘心とは、「植物の伸びようとする成長点を切ったり摘み取ることで育つ方向を管理し、
葉や実の付き方をよくするための作業」のこと。
なるほど、樹木の剪定のようなものなんですね。

(左)マクワウリの雄花と雌花。花びらの根元が膨らんでいる方、子房のある右側が雌花です。
(右)雄花の花びらを取り除き[左]、雌花に受粉を行います。
その日に咲いた新鮮な花を選ぶことが大切とのこと。

授業で習ったマクワウリの栽培の流れをまとめると…。
1)最初の摘心…苗を植えてから最初に伸びる主幹(親づる)の
  本葉(種から最初に出て来る子葉の、次の葉)が4、5枚の頃に、その先の葉を摘み取る。
2)子づるの選定…摘心後、親づるから側枝(小づる)が伸びてくるので、
 生育の良い揃った小づるを3、4本残して、他のものは摘み取る。
3)整枝…子づるからさらに孫づるが伸びてくる。小づるの本葉7〜8枚目までの孫づるはすべて取り除く。
4)結果枝の決定…子づる10枚目あたりの孫づるを3本程度残す。これが実をつけるための「結果枝」となる。
5)受粉と追肥…結果枝に花が咲いたら、受粉作業を実施。
  その後果実が大きくなり始めたら、追肥を行う。開花後、35〜40日で収穫できる。

親づるから子づるが出て、さらに孫づるに実が成るわけですね。
摘心を適宜行い、実がなる孫づるをうまく伸ばすことが栽培のポイントなのだそう。
そのほか、マクワウリがなりやすいウドンコ病やツルガレ病、
アブラムシや葉ダニといった病害虫防除についても教えてもらいました。

前回、防寒のために被せたホットキャップを外します。

植え付けから約1ヶ月後のマクワウリの苗。つるが伸びて、本葉もたくさん育ちました。

親づるの摘心を行う

屋内での講義の後は、前回植え付けをした畑で実習です。
マクワウリの植え付けの際に被せたホットキャップを取り、授業で習ったように摘心作業を行います。
みんなで畝の間にしゃがんで苗をじっと見るのですが、
つるがにょきにょき伸びて葉も元気よく茂っているため、本葉の数え方がよく分かりません…。
先生や経験のある人に教えてもらい、5枚目から先の葉とつるを何とか摘み取りました。

みんなで摘心作業中。「5枚目ってどれ?」とあちこちで声が。
榎戸先生が一人ずつ確認しながら教えてくれました。

畝の間に敷きわらを行います。わらを敷くのは排水対策やついた実に土の跳ね返りを防ぐためです。

(左)ピーマンの苗の追肥。マルチの中に手を入れて、苗の根のまわりに化成肥料を蒔きます。
(右)実習を行った畑のすぐ隣のトウモロコシ畑。半田農業高校の生徒さんたちが授業で育てています。

マクワウリ以外のピーマンとナスの苗も順調に育っていました。
前回被せた防風のための囲いの「あんどん」を取って、
化成肥料を苗の根元のまわりに与えました。これを追肥といいます。
さらにすぐ隣のトウモロコシ畑に集まって、
トウモロコシの栽培方法について榎戸先生からアドバイスを受け、この日の講義は終了しました。
次回のテーマは「果樹栽培の管理」。ナシやブドウの栽培方法について学ぶとのこと。楽しみです!

受講生にインタビュー

授業の後、仲良くご夫婦で受講されていた榊原浩也さんと正子さんにお話を伺いました。
受講のきっかけを聞くと、
「主人の数年後の定年に備えて、今から野菜づくりの勉強を始めようと思って。
いきなり始められないでしょう? 野菜づくり1年生です」と正子さん。
浩也さんも「自宅の庭にブロックで1m50cm四方を区切り、
そこに土を入れて畑のスペースを作りました。
授業は座学と実習の両方があるからいいですね。
現場を見ながら教えてもらえるから分かりやすいです」と答えてくれました。

(左)半田市在住の榊原夫妻。JAあいち知多の広報紙でこの講座を知り、受講を決めたそうです。
(右)毎回授業のテキストとして、プリントが配られます。教室での座学の後、畑で実習するスタイルです。

半田農業高校の取り組み

講義の始まる前、教室の入り口で高校生たちが醤油煎餅の販売を行っていました。
聞いてみると半田農業高校食品科学科の生徒さんたちで、学校のオリジナル商品とのこと。
食品科学科では、食品の原料となる農作物を栽培し、
味噌、醤油、お酒、ジャムなど様々な食品の製造を行っているそうです。
煎餅の材料となるうるち米、醤油は生徒たちが作ったもので、製造を武豊町の福祉施設に依頼。
「これから僕たちの会社としてこのオリジナル醤油煎餅を、
愛知県のハイスクール起業家コンテストに出品するんです!」と
売り子の生徒さんたちは、元気に話してくれました。
実業高校ならではの取り組みですね、頑張って下さい!

(左)[左から]半田農業高校食品科学科3年生の足立哲也さん、手島正博さん、野田大樹さん。
「米も醤油もオール半田農業高校産の醤油煎餅です!」。
(右)半田農高醤油煎餅(420円)。昨年の3年生が卒業研究で開発したもので、
ラベルにはかわいいキャラクターそいべいくんが。学校のイベントなどで販売しています。

知多半島唯一の農業高校

半田農業高校は知多半島で唯一の農業高校として、114年の歴史と伝統のある実業高校。
農業園芸科、生物工学科、食品科学科、生活科学科の4学科があります。
付属農場の広さは約4ha。
田畑、果樹園、畜産農場があり、日々生徒達の実習と学習の場として使われています。
日本の農業の今と将来について、さまざまな課題がありますが、こうして10代から農業に興味を持ち、
農業を元気に志す若い人たちがいることに、明るい気持ちになりました。

広い水田、果樹園のほか、畜産農場も。とにかく広い!

水田では田植えが始まっていました。機械植えの他、手植えも実習で行います。

編集員のココがオススメ!

第二回目を受講して。参加者さんへのインタビューにもあったように、この講座の魅力は、座学と実習の両方で学べるところ。教室で先生のお話を聞くのも楽しく勉強になりますが、実際に畑に出て、みんなで土を触って作業をするのはもっと楽しい! そしてテキスト通りにはいかないことも体験(笑)。少しずつちゃんと育っている野菜を見たり触れたりしていると、素直に感動しますね。野菜づくりは自然に触れることでもあるんだな〜と実感しています。

(梅田美穂)

 

ベランダで私が育てている野菜たち(6月7日撮影)。
トマト、ピーマン、ナス、すべてに花が咲き、トマトとナスには小さな実が付きました!
日々育っていくことに感動する毎日です。

 

詳細情報

お問い合わせ先 JAあいち知多 営農部 農業振興課
TEL/FAX TEL: 0569-34-9917
FAX: 0569-34-9962
※ 通年コースのため、今年度の受講募集は終了しています。募集は毎年3月頃の予定です。
E-mail einou@agris.or.jp
ホームページ アグリス(JAあいち知多)

2012年5月18日現在の情報になります。

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