蔵に一歩踏み入れると、冷たい空気の中で、味噌の香りがふわっと寄り添うように香ります。
豊田市にある蔵元 桝塚味噌では、昔ながらの味噌蔵で天然醸造された味噌を製造・販売しています。
ここでは、味噌を作るとは言わず、ひとねると言います。
ひとねるとは、三河地方の方言で「育てる」という意味。
「味噌は作るのではなく育てるもの」と言う蔵元 桝塚味噌の野田社長に、
その味噌についてお話を伺いました。
蔵元 桝塚味噌の味噌は、確かな目で選ばれた大豆を、桶の中で天然醸造という方法で熟成させます。
天然醸造とは、自然の流れに沿ってゆっくりと熟成していく方法。
そうすることで、味噌本来の香りや味に厚みがでるのです。
しかし、天然醸造は、広いスペースとたくさんの時間がかかることから、
現在、味噌蔵で味噌を天然醸造している製造メーカーは、全国の2~3%しか残っていません。
多くの味噌は、人工的に麹の働きを活発にさせ、
短期間で味噌を作り上げる速醸という方法で醸造され、味や香りが浅くなってしまいます。
そのため、調味料を添加して味を調え・・・と、
味噌らしい味噌からはどんどん離れていってしまいます。
野田さんはこう話します。
「僕たちは、うまい味噌を作ろうとはしていないんです。
味噌らしい、いい味噌をひとねようねってみんなで話しているんです。」
蔵元 桝塚味噌では、仕込みをしてから18ヶ月間、味噌蔵で熟成させます。
18ヶ月というのが、この蔵でつくられる味噌の一番の旬なのだそうです。
とろ味噌って聞いたことありますか?味噌桶の中で、
ちょうど真ん中あたり一番美味しい部分を「とろ」と言うそうです。
「とろみそ吟醸桜」は、工場長が選びぬいたとろ味噌の自信作。
全体の10%程度しかとれず、一週間から2週間程度しか、その風味は持ちません。
そのため、流通はさせず、直売店でしか販売していないとのこと。
お味噌本来の味を楽しみたいなら、一度は食べたい一品です。
「豊田って車だけじゃない。良さがたくさんある。味噌もそう。地域には地域の味噌がある。」そう話す野田社長。味噌について、一つ一つ丁寧にお話いただきました、「豪華なものじゃなくていい、きちんとしたものを食べて欲しい」という言葉からは、味噌の味と同じ、芯の通った優しさを感じました。
(福島有美子)
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店舗名 | 蔵元 桝塚味噌 |
住所 | 愛知県豊田市桝塚西町南山6 |
TEL/FAX |
TEL:0120-34-0028(フリーダイアル) FAX:0565-21-0180 |
営業時間 |
8:00~17:00 |
定休日 | 日曜、祝日 |
URL | 愛知の味噌の蔵元 桝塚味噌 http://www.masuzuka.co.jp |
2010年11月16日現在の情報になります。
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